昨夜書いた日記での「豫園」。これは記憶違いで、それは前の店の名前で正しくは「マンダリン」だった。ここに関しては、連載エッセイ「僕、外食大好きです」第10回で平成6年ごろに発表した記事(当時はミスタークラフトクラブ会報での紙媒体)に記載があったので紹介しよう・・・
******************************
行きつけの中華料理屋も失った。六本木のブリヂストン系のアクシスビルにあった「マンダリン」が突然閉店した。
このスペースは、以前は「アタント」というフランス料理屋が使用しており、アタントの石材を多用した現代的な内装のかなりの部分を流用したこの店は、しかし、流行りの「ヌーベルチャイニーズ」でなく、腰の座った伝統を踏まえた中華料理を供した。
中華料理は別名「火の料理」というように、強い火力で調理人の瞬間芸的な技量が発揮されるところに旨さの根源があると思う。それはあるときは水分を一気に飛ばして野菜の食感を最大限に高め、あるときは油に水を一気に注ぐことにより魔法のような味を引き出したり、あるときは悪玉のように捉えられている油をソースの一部の善玉に変えてしまう。
何と言っていいのだろうか。ここら辺の表現は難しい。実例を言えば赤坂の「楼外楼」等はこれを実践しているいい例だと思う。しかし、意外とこの基本が実行されている店は少ない。特に、ヌーベルチャイニーズには先入観か、この基本が欠けているように思えてしまう。
マンダリンはまさにこの旨さの根源を追求した料理を供した。どの料理にもしっかりとしたこくがあり、塩も効いているが、決して野暮ったくなく、素材も旬の野菜を多用し、不思議と内装に合った雰囲気を醸しだしていた。
ここはランチも特筆ものだった。ランチといえども上記の基本は忠実に守られており、火加減は絶妙であり、特に外側はふっくらと中はレア目に仕上がった蟹玉は塩の乗りが適切なこともあり最高の味だった。そして、これに合わせて食べるご飯が又旨かった。さすがに最近の中華料理屋は、一昔前みたいに、最低の米を最悪の炊き方でしかも炊き置きして供するようなところは少数派になったが、マンダリンのご飯は頭抜けて旨かった。
実は、この店の前に同じ場所に中華料理屋が数ケ月だけ営業していて潰れ、そこのチーフを始め支配人やスタッフ一同がこの店にそっくり移ってきた。そして、彼らはその前の店の前はこの店のすぐ近くのやはり閉店してしまった「豫園」という店にいた。だから、次回もどこかの店で再活動するかも知れない。しかし、閉店の挨拶の電話をくれた中西支配人は、度重なる不運に今度は様子を見てから開店の連絡をくれると言い残した。
****************************
また、「東京飯店」と「中国飯店別館」に関しても大分以前の「僕、外食大好きです」第71回で次のように記載していた。
****************************
最盛期に比べて数は減ったとはいっても六本木は中華料理屋のメッカだ。そして、どの店もランチがとても充実している。これは断言してもいいが、他のどの町と比較しても、六本木の中華料理のランチは価格対内容比が優れている。
先ず、登場するのがゴトウ花店の反対側にあるビルの7階にある「東京飯店」。この店は一時六本木の支店をたたんで、銀座の泰明小学校の前にある本店のみだったが、最近、銀座の店をたたんで六本木に移転してきた。日本人が中華に期待する料理が本場のテイストを加えて違わず出てくる美味いもの屋的な中華料理のここを、やはり美味いもの屋的な中華料理の赤坂の「楼外楼」と比較する人もいるがわかるような気がする。
ここのランチの特徴はボリューム感。けち臭さが全くない。料理は勿論のこと、大根の中華風の醤油付けの漬物がとにかくたっぷり付き、ご飯は勿論、美味しいスープは何杯でもお代わり自由だ。料理が美味しいことはいうまでもなく、例えば玉子焼きはいつもベストの状態で焼き上がっており塩加減もよい。ここで、是非試してみたいのは豊富な種類の麺やご飯類。ものによっては1000円代の後半の値段のものもあり、一瞬高そうに思うかも知れないが、内容を考えた場合格安といってもよい。特に驚きの一品は「バラ肉チャーハン」。ミデイアムレアーに仕上げた玉子を混ぜ込んだ非常によくできたチャーハンに、一皿数千円の一品料理のレベルの豚の角煮が青菜と共にたっぷり載ってくるこのチャーハンは本当に美味しい。量も凄く、この店の他の麺やご飯類同様確実に1.5人分はある。これは絶対のお勧めだ。もし同伴者がいるのなら、もう一人は煮込みソバを頼めばベストバランスだ。又、ここのイシモチソバも美味しいが、未体験ゾーンの驚きを味わせてくれるのは葱油ソバ。これを食べさせたクラフトの社長が思わずのけぞった美味だ。
そして、この店を更に魅力あらしめているのは店の雰囲気。店長やマネージャーを始め、昔からいるおばさん、レジを打つ社長の娘、それぞれがまるで自分の家でもてなすかのような一枚板となったサービスぶりはとても居心地がいい。ある意味で銀座的な雰囲気なのかも知れないが、六本木の中華料理屋の中では異色の店だ。
そして、価格対内容比では東京飯店にひけをとらないのが、飯倉片町の交差点際にある「中国飯店別館」。ずっと昔の頃のここのランチは量も少なく大したことがなかったが、最近の充実振りは素晴らしく、ランチタイムは時として満席となる六本木としては珍しい大繁昌店だ。
ここの最大の特徴は日本語に翻訳した中華ではない本場の料理が出てくること。実際、スタッフの大部分は中国人なのだが、これが本場のものですよといったてらいとは無縁のレベルで、例えば香港あたりの町の中華で食べるようなものがごく日常的に供される。これは、ここのランチを食べてみればよくわかる。
1000円のランチの1番は必ず、家鴨やチャーシュウ、それに蒸し鳥といった冷菜がおかずとなる。前菜でご飯を食べるのかよといったイメージを持つ人もいるかと思うが、考えてみれば日本人だって普段は刺し身定食や鰺たたき定食といったものを食べている。冷菜といっても、我々が普段接する前菜とは別の次元で料理されていて、例えばチャーシュウは中華風のタレをからませたぶつ切りの胡瓜の上にたっぷりと載ってくるといった具合に、充分にご飯のおかずになるように工夫されている。
1000円のランチの上は、超値ランチと名付けられた1500円のランチだが、これは大変なバリューフォーマネーのランチだ。「殆ど原価よ」という店側のセールストークを真に受けてもよい内容だ。例えば、ある日の広東風ステーキ。普通だったら一皿3000円はくだらない上質の牛肉のステーキがたっぷりと出てくるさまはまさに驚異だ。チーフはこの1500円のランチを楽しみで作っているようで、僕はこのステーキだけでも色々のバリエーションを楽しませてもらった。ある日のマンゴーと牛肉のステーキも美味しかったが、他の日の中華風バーベキューソースじたてのステーキに目玉焼きを合わせ更にたっぷりと青菜を載せた一皿も忘れられない。
この店でもう一つ忘れてはいけないのが、カウンターの中で作られるお粥や麺類。
ここは面白い店で、本来の厨房とは別に店の入口際にあるカウンターの中にも別系統の厨房があり、ここでは中国からきたお姉さんが腕を奮っている。
初めて香港にいったときに、クラフトの社長お勧めの町の粥屋に入り、余りの美味に驚き、結局この店を越える粥屋にはその後めぐりあってないが、ここの粥はそれを彷彿させる味だ。言っとくが、大部分の店で粥と称して出すものは一度炊いたご飯をスープでふやかしたまがいものだ。たまに白粥を出す店もありこれはこれで本当の中華粥だが、こういったものは香港や台湾に団体旅行で行った際のツアーのメシで食べることができる。
僕が言ってるのは、大量の米をぐつぐつと煮て糊状の粥床としたものをこくのあるスープでのばし、更に具を入れたそれ自体で完結した粥だ。僕のこの店でのお勧めの粥はピータン粥。これは美味い。量は少なめなので、一緒にチャーシュ饅頭を頼んでもいいだろう。又、ここのカレー麺という汁無しソバも美味い。そして、通常のメニュウには載っていないが、絶対のお勧めは巾広汁ビーフンのチャーシュウ麺。これに関しては余計は説明はしない。とにかく食べて見ることをお勧めする。本物のチャーシュウに驚き、巾広ビーフンという麺に驚き、スープに驚くことだろう。尚、デザートのアンニン豆腐やマンゴープリンも忘れないように。どちらもとても美味しい本物の味がする。
****************************
ところで、昨夜書いた糯米焼売(もち米シュウマイ)と棒々鶏冷麺が美味しかった家族経営の中華、名前がどうしても思い出せない。これをみて知っていた人がいたらお知らせください。
最近のコメント