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2006年9月13日 (水)

パエリア

広尾のバレー教室に娘を迎えにいったら、旧知のフレンチのシェフの後藤さんとばったり。彼とは幻の名店「葆里湛(ホリタン)」のシェフ時代からの知り合い。最近、とても高価なステーキが話題になっていますが、最大の難関は圧倒的な存在感を持つメインデイッシュである高価なステーキをスポイルせず、しかもそれに引きずられないで前菜と魚料理を構成するという相反する命題にあります。葆里湛時代、彼はそれを見事にクリアーしていました。

葆里湛閉店後、後藤さんは広尾に南欧料理の「ア・ヴォートルサンテ」を開店しますが、凝り性のB型の彼は今度は後藤流というべきパエリアを試行錯誤の末完成し、これまたすばらしいパエリアでした。

そこで、今回の「僕、外食大好きです」はそんな後藤シェフを取り上げた「パエリアを究める」を掲載することにしました。

ところで、後藤さんは私が全幅の信頼をおくシェフの一人。先ずは、彼の料理講座の映像を見て下さい。お料理の心得のある人は私が信頼をおく意味を理解できる筈です。

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2006年9月10日 (日)

結婚披露宴

ホームページ「僕、外食大好きです」を久しぶりに更新しました。今回は「結婚披露宴」。10年ほど前の記事です。

当時、日経ウーマンの編集長がこの連載の読者で、取材を受け、何と日経ウーマンに写真入りで登場し、結婚披露宴のあるべき姿について語ることになりました。知らない人はブライダル評論家かと思ったかも知れません。

なお、私たち夫婦の披露宴は親戚とそれ以外の二本立てで、親戚の方はキャピトル東急ホテル、それ以外の方は森英恵さんがやっていた青山のオランジェリードパリ(今はル・パピヨン・ド・パリ)でした。

結局披露宴は2回やったことになります。だから今でも結婚記念日がどっちだっけとごちゃごちゃ。

一見無駄なようですがメリットもあります。最大のメリットは人数が分散されるので部屋がとりやすいということ。一般にホテル等の披露宴はかなり前でないと予約がとれないといわれてますが、それは披露宴に使われる100人規模の部屋の需要が高いということで、50人前後の部屋だと結構空いてます。また、この規模の部屋はホテルとしては結構売りにくいので、お得なディスカウントパッケージもありキャピトルはこれを使いました。それと今はともかく当時は本格的フレンチやワインもそれほどポピュラーでなく、親戚には日本酒やビールも飲め、料理も当たり障りのないホテルの方が無難ということもありました。

で、対象を絞れたのでオランジェリーの方は目一杯フレンチしました。お酒はシャンパンとワイン、それに食後酒のみ。料理も普通では披露宴では出せないネーミングの「フォアグラのピサの斜塔風」、スープも定番のコンソメでなく赤ピーマンの冷製スープ、デセールも盛り合わせなどやりたい放題。ここの上原シェフ(先日退任)も野沢支配人もたまたま同い年でよく趣旨を理解してくれました。

モリグループとはもともとご縁があったのでいろいろと無理がきいて当時はあまりやってなかったレストランウエディングを実現できたんですが、ここのレストランは隣のホールで行うファッションショーとリンクさせてパーティーをやったりできることを前提としているので、屋根が全開できるウエイティングスペースがあったりして便利でした。

ただ、当時はレストランウエディングが一般的でなかったので準備が大変でした。招待状の印刷、花の手配、写真の手配、着付け、すべて自分たちで業者を探して手配しました。また、披露宴は着席のフルコースでやったんですが、当時の意識としては結婚式場やホテル以外だと二次会と短絡されてしまうので、そうでないことをわかってもらうための根回しも苦労しました。

なお、経費はホテルでやるよりはるかに安く済み、料理とワインは遥かに高レベルでした。

今はレストランウエディングはひとつのスタイルとして業者のメニューに組み込まれるているようで、隔世の感です。

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2006年9月 6日 (水)

料理人の緊張感

 昨夜、世田谷の某イタリアンに行きました。料理は全般的には美味しく、お店の感じもよいのであえて名前は出しません。

  手切りのサンダニエルの生ハムとイチジク、マルゲリータとビスマルクのハーフアンドハーフピザ、松阪肉のボロネーゼ、黒豚のプラムソースなどなどどれも美味でした。

 さてドルチェ。私が頼んだのは梨のグラニテ。梨のグラニテいいね、食後にお口がさっぱりしそうと、運ばれてきたグラニテにスプーンを入れようしたが、はてスプーンが通らない。それはグラニテとは名ばかりのアイスキャンデーのようなかちかちの代物でした。

 ここで、「グラニテ」についておさらい。グラニテとソルベの違いは何?先ず、糖度の違いが挙げられます。果物のピューレとお砂糖を合わせて攪拌して空気の泡を含ませながら冷し固めるソルベは砂糖の量が多いほど固まりやすくなります。グラニテは砂糖の量が少ない分、固まりにくくなり、固まったしてもシャーベット状でなく細かい氷状に固まります。次に攪拌の程度。ソルベは一般的にはプロペラで強制的に攪拌するアイスクリームメーカーを使って大量の空気の泡をきめ細かく含ませながらとても滑らかな仕上げにしますが、グラニテはバットなんかに入れて冷凍庫に入れたものはときどき木べらでざくざくかき回して砕いて粗い仕上げにします。例えていえばソルベとグラニテの間には、土と砂のような違いがあります。

 ここまで書いて明らかなように、グラニテというものは決してアイスキャンデーのように固まったものでなく、口の中でしゃりしゃりする顆粒状のものでなくてはならないのです。今回、料理人はピューレをただ冷凍庫の中に放り込んで攪拌することを忘れたものと思われます。ただ、そうであっても、かちかちの固まりをその場で細かく砕けばOKなのですが、それもせず、スプーンで力任せにすくった固まりをそのまま「グラニテ」として出したようです。

 はっきりいって、料理に対する緊張感がなさすぎです。この店は素材に関して、やれどこそこの何々といったようにこだわりがあることで知られていますが、それとの落差が大きすぎ驚かされました。それまでのお料理が悪くなかっただけに、このグラニテにはがっかりで、ディナー全体がぶち壊しになりました。

 ピザが売り物のここは若者の客も結構多く、その服装や食べ方はあまりにラフで、ちょっと首を傾げてしまうのですが、それはそれで気楽な雰囲気でいいかも知れません。しかし、だからといって胃袋を預かる料理人まで緊張感を忘れては困ります。

 イタリアンではお客の気楽さと料理人の気楽さがごちゃごちゃになってときどきこういったことがおこるようで、この店よりはるかに料理が低レベルの店でしたが、戻しが半分ほどしかできてない乾燥ポルチーニ入りのパスタを食べさせられたイタリアンもありました。

 フレンチでは今回のようなことは先ずあり得ないだけに、イタリアンの料理人は猛省すべきかと考えます。

 よくいわれる例えですが、優雅にすいすい泳いでいる水鳥は実は水中では必死に脚を動かしています。イタリアンも料理人が常に緊張感をもって本当の料理を出してこそ、お客はお気軽に料理を楽しめるのではないでしょうか。

 尚、今回は帰り際にグラニテの件のクレームをお店に伝えましたが、果たしてどこまで理解されたでしょうか。

付記1/もっとも、10年以上も前に今井浜の東急リゾートのフレンチでかちんかちんに凍ったソルベがでてきて立腹したことありましたが。
付記2/私は自分でもシャーベットやグラニテをよく作りますが、初めてグラニテを体験したのは今を遡る30年近く前。村山さんという美貌の店主のグラスリーラパレットというグラスとソルベの専門店でした。未だ若かった私は西麻布のこの店にコーヒーとソルベを楽しみに入り浸ってたんですが、ある日彼女が見慣れなものを出してくれました。「これはグラニテっていうのよ」と彼女が出してくれたのは、しゃりしゃり感が何となく子供の頃の氷を思い出させるコーヒーのグラニテでした。この店は今はなく、村山さんも若くして他界してしまいましたが、今でもグラニテというとこれを思い出します。そういえば、当時西麻布のカピトリーノが開店した頃で「イタリアで食べるのと同じパスタが出てくる」と彼女から教えてもらいました。なお、村山さんはその昔は渋谷のシェジャニーにいらっしゃったこともあると記憶していますので、フレンチオールドファンの方はご存じかも。

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